哲学者17人のお茶目な話⑥

「ドジな失敗談と言い訳」

哲学者17人のお茶目な話⑥です。
「ドジな失敗談と言い訳」を教えてくれます。

ソクラテス

「友よ、我は自らの知者として振る舞う者。しかしながら、先日、市場にてオリーブの選定において、古典的な『良きものは全て美しい』の教えに従い、最も美しいオリーブを選ぶべく熱心に見極めた末、全てのオリーブを床に散らかしてしまった。
まさに、『床に落ちたオリーブが、実は心の清浄さを象徴しており、これこそが真の美である』」

アリストテレス

「友人たちよ、我が失敗は万事において中庸を欠くことにあった。
最も善なる行動を取るべしとの教えを重んじるあまり、最中庸を見誤り、過度な善を追求するあまり、自らを滑稽な光景となしてしまった。
しかし、これについては、過剰な中庸主義が生じた結果であると自己弁護せざるを得ない。」

イマヌエル・カント

「我が友たちよ、先日の私の痛ましい失敗は、『啓蒙とは何か』との問いに対し、自らが堂々と答える中で、足元の段差につまづき、地に倒れたことだ。
しかし、『啓蒙は知識を求め、それによって自らを高めることだが、段差につまずくことは、知識の障害に立ち向かっている象徴であり、むしろ啓蒙の証となる』」

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル

「我が友ら、私は最近、論理学の授業で自らの論理を構築しようとするあまり、教壇から転げ落ちてしまった。
だが、『論理の構築は、時には現実との不可解な相剋を引き起こすものであり、私の転倒はその象徴である。論理の進展においては、時折、身をもってその途中経過を示すことが必要だ』」

ニコライ・フョードロフ

「諸君、私は最近、自らのアイデンティティにおいて迷走し、犬の尾を追いかけているうちに転びかけてしまった。
しかし、『アイデンティティの捜索は、しばしば迷走と混沌を伴い、犬の尾を追うことは魂の真実を探求する象徴である』」

フリードリヒ・ニーチェ

「諸君、我が誤りは、アンドレア・デル・サルトの作品に心酔し過ぎて、思わず自分を『絵画の超人』と名乗ってしまったことだ。
だが、『絵画の超人たる者は、自らの存在を常に超越し、現実と夢の境界を曖昧にするもの。私の自己冠称は、その境界領域において自由なる精神の表現である』」

西田 幾多郎

「諸君、先日、道徳的な選択の場で、正しい行いと思われるものに従ってしまい、結果として砂漠で孤立してしまった。
しかし、『道徳的な選択こそが、時には心の砂漠に迷い込むことを意味する。私の孤立は、道徳的な旅路における真摯なる歩みの一環である』」

バートランド・ラッセル

「友よ、私は先日、自身の存在に疑念を抱きすぎて、街中で自分を見失いかけた。
だが、『自己疑念は哲学者にとって不可欠であり、自らの存在を疑うことは、現実における知識の積み重ねと直結している。私が迷子になったのは、知識の旅路において自己を見失った結果であり、これはむしろ進化のしるし』なのだ。」

オルテガ・イ・ガセット

「諸君、私は最近、カフェでコーヒーを飲みながら夢中になりすぎて、自分の存在を忘れかけたことがある。
しかし、『深淵なる思索に没頭することこそが、現実との融合を一時的に忘れることであり、私の存在消失は、むしろ思索の深遠さの証と言える』のだ。」

ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン

「諸君、私は先日、言葉の遊びに耽りすぎて、自らが存在する意味を見失いそうになった。
だが、『言葉は現実を形成するための道具であり、私の存在が揺らぐことは、言葉の限界を示す自然な現象。私の存在の不確かさは、言葉の神秘的な力の証明である』」

ジャン＝ポール・サルトル

「仲間たちよ、私は先日、カフェで待ち合わせていた友人を見逃してしまった。
しかし、『他者の存在は常に不確かであり、友人の出現とは常に不可能性を伴う。私の友人の不在は、他者の存在の根源的な不在を示している』」

レヴィ＝ストロース

「諸君、私は最近、ジャングルで研究している最中に、迷子になりそうになりました。
だが、『ジャングルの中で迷子になることは、人類の原初的な状態に回帰する一環。私の失踪は、文明から解放され、自然との調和を求める試みの結果である』」

ジル・ドゥルーズ

「友人たちよ、私は最近、自らの思考に迷い込み、現実の流れに取り残されそうになった。
しかし、『思考の迷走は、固定された現実に挑戦し、新たな可能性を切り拓くための実験。私の混迷は、思考の冒険における価値ある冒険なのだ』」

ミシェル・フーコー

「仲間たち、私は最近、自身の身体性に困惑し、鏡に向かって自問自答していたら、部屋を出てしまった。
だが、『身体の反映は社会的な構築物であり、部屋を出ることは自己の解放と社会の枠組みに挑戦する行為。私の行動は、身体と社会の相互作用の複雑なダンスの一環』なのだ。」

ジャック・デリダ

「友よ、私は最近、自らの言葉に迷い込み、文字をなぞる手が紙から逸れていってしまった。
しかし、『文字は常に不安定であり、私の手が逸れることは、言葉の限界を示す表現。私の迷走は、言葉の解放と不確実性への挑戦』である。」

ウンベルト・エーコ

「諸君、私は最近、自らの著書に迷い込み、あるページで方向を見失ってしまった。
だが、『著作は読者とともに生きるものであり、ページを迷うことは、読者と共に思索の冒険に挑む表現。私の方向の喪失は、言葉と読者との対話の一環』である。」

ジョルジョ・アガンベン

「友よ、私は最近、自らの生存に疑念を抱き、自宅の鍵を閉め切ったまま外出してしまった。
しかし、『生存の不確実性は、現実の緊張と不安に対抗するための行動。私の家の鍵を閉め切ることは、生存と安全への欲求から生まれる行為』である。」